炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは?主に2種類

炎症性腸疾患とは私たちの身体には、免疫という防御機能が備わっています。この防御機能によって、「ウイルス・細菌」をはじめとする異物を敵と認識し、攻撃したり追い出したりして、身体を守ってくれています。
しかし時として、この免疫が過剰に働き、身体を傷つけてしまうことがあります。このうち、免疫によって大腸や小腸といった腸管に炎症を引き起こすのが、炎症性腸疾患です。
炎症性腸疾患は、大きく2種類に分けられます。「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」です。両者には共通点も多く、いずれも厚生労働省から難病の指定を受けています。
多くは30歳未満の若い世代で発症しますが、50代や70代で発症するケースも見られます。はっきりとした原因は解明されていないものの、治療によって症状をコントロールすることが可能です。

潰瘍性大腸炎

大腸で炎症が生じ、粘膜が傷ついたり、ただれたりする病気です。クローン病との最大の違いは、炎症が起こる部位が大腸のみである点です。

症状

  • 腹痛
  • 下痢
  • 血便

上記のような症状が活発な時期を「活動期」、症状が落ち着いている時期を「寛解期」と言います。活動期と寛解期が繰り返されるという特徴を持ちます。

原因

免疫機能の異常によって、大腸粘膜で炎症が起こると言われています。また、遺伝、腸内細菌、食習慣、ストレスなどが発症に影響しているものと思われます。

治療

薬物療法が中心となります。
大腸粘膜の炎症を抑制する5-アミノサリチル酸を中心に、免疫を抑制するステロイド経口薬、炎症細胞の増殖を抑制する免疫調整剤、炎症を引き起こす物質の作用を阻害する生物学的製剤などを使用します。
また直腸に炎症がある場合には、肛門から局所製剤を使用するのも有効です。

クローン病

口から肛門、すべての消化管で起こり得る炎症性腸疾患です。
中でも多いのが、小腸や大腸での発症です。

症状

  • 腹痛
  • 下痢
  • 発熱
  • 体重減少
  • 全身倦怠感

上記のような症状が活発になる活動期、症状が落ち着く寛解期を繰り返します。潰瘍がひどくなり、腸閉塞や腸穿孔に至ることもあります。

原因

免疫機能の異常によって発症するものと考えらえています。

治療

薬物療法と栄養療法が基本となります。
薬物療法では、大腸粘膜の炎症を抑制する5-アミノサリチル酸、ステロイド経口薬、生物学的製剤などを使用します。
栄養療法では、食事制限をした上で栄養剤を服用し、腸管への刺激を軽減します。
重症化すると、入院治療が必要になります。

炎症性腸疾患の検査

他の病気ではないことを確認する(除外診断)必要があるため、いくつかの検査を組み合わせます。

血液検査

炎症の程度、栄養状態、貧血の有無などを確認します。

便培養

感染性の腸炎との鑑別のため、便中の菌の有無を調べます。

大腸カメラ検査

大腸カメラ検査

診断の確定のためには、大腸カメラ検査が必要になります。大腸の粘膜の状態をカメラを介して観察し、採取した組織を病理検査にかけ、確定診断とします。
なおクローン病が疑われ、その発症の部位が大腸ではない場合には、小腸内視鏡検査、消化管造影検査、CT検査、MRI検査、カプセル内視鏡検査といった検査が必要になることがあります。

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