逆流性食道炎とは
胃粘膜は酸に対する十分な防御能を有していますが、食道粘膜はほとんど有しておらず酸性の胃液により容易に粘膜が傷害されます。胃液が食道内に逆流することによる食道粘膜傷害と症状のいずれかまたは両者を引き起こす疾患を胃食道逆流症(GERD)といい、そのうち内視鏡的に食道に粘膜傷害を認めるものを逆流性食道炎といいます。
ここではわかりやすく、GERDを逆流性食道炎としてお話します。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎は、胃液が逆流することを直接の原因とします。そしてその要因には、以下のようなものが挙げられます。
過食
たくさん食べると、胃壁が伸展し下部食道括約筋が緩み、胃液の逆流が起こりやすくなります。
高たんぱく・高脂肪食
食生活の欧米化により胃酸の分泌が増加していると考えられています。
腹圧の上昇
肥満、亀背(背中が曲がること)、慢性的な咳により腹圧が上昇すると、胃液の逆流が起こりやすくなります。
逆流性食道炎の症状
- 胸やけ
- 呑酸
- げっぷが頻回に出る
- 胸痛
- 悪心、嘔吐
- のどのつかえ感
逆流性食道炎の診断
胃カメラ検査を行い、診断します。
粘膜傷害の程度によって、A~Dまでのグレードに分類されます(ロサンゼルス分類)。本邦では内視鏡で診断される逆流性食道炎のほとんどが、軽症のグレードA、Bです。
逆流性食道炎の治療
薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬を用います。
ほとんどの場合、治療開始後1週間以内に症状は消失します。
生活習慣指導
食べすぎや脂っこい食事を控えましょう。また柑橘類やスパイスも症状が出やすいので気を付けましょう。
夜間に症状が出やすい方は、早めに夕食をとり就寝時に上半身を少し高くしましょう。